新建 文本文档_110
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鈽Sなんだが。」
陸奥が舌打ちしながらそう言うと、また西郷が答えて、
「大丈夫です。あれはそのうち落ちますから。」
「???なぜわかる?」
「それより見てください。獣たちの死骸です。」
 突如、地面に横たわる動物の遺骸が多くなって参りました。狼や鹿、狐や狸???どれも爆撃で傷を負って力尽きたものばかりでございました。
「近いですよ。」
西郷が息を飲んでそう言葉を続けました。
 動物たちに交じってゾンビたちの肉片も多く見られるようになってきました。やはりどれも爆撃の跡が見られます。

 「な、なんだこれは???」
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声、同じく西郷と私、寡黙な朱雀までが目の前の光景に圧倒されて知らず知らずのうちに驚愕の声を漏らしておりました。
「これが巣か???いや、種子か???」
西郷の言葉に私ははっとします。

 湖の畔(ほとり)にそれはひっそりと置かれておりました。

 高さ2m、幅3mはあろう緑に光る球体。

 それを覆うようにして何百のゾンビが群がっておりました。
 数匹の巨大な熊がさらにそれを覆うように取り囲んでいます。その傍には燃える動物とゾンビの遺体。何百という数が燃えております。

 「種子を守っているんです。獣たちとゾンビたちが手を組んで???。その身を犠牲にして???信じられません???勝先生の話は本当だった???」
西郷が呆気にとられて独り言のようにそう呟いておりました。

 私は確信しておりました。

 この緑の球体の中に私の妻がいることを。



 最後の戦いの時が迫っておりました。

N3437BM-86
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4話連続で更新しております。ご注意ください。
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22:無茶


ヴェローナ家から青の秘術書を取り返したその日、王宮に様々な報告をして、やっと家に帰りついたのは随分と夜中の事だった。

「旦那様、お帰りなさい!!」

僕が家に帰るやいなや、玄関口でベルルが勢い良く抱きついてきた。
その顔を腹に押し当て、ぎゅーと。

「ど、どうしたんだいベルル」

「……旦那様、大丈夫だった?」

「うん、特に何てこと無いよ。何もかも、上手く行ったんだ」

「本当?」

「ああ! 君に、すぐ報告したかったんだけど……色々と急がしくてね」

ベルルの背を撫で、安心させる。きっと朝から、僕の心配をしてくれていたんだろう。
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上げる彼女の、そのあどけない瞳が愛おしい。

思わず、僕も彼女をぎゅっと抱き締めた。

「う、んー……っ、旦那様、苦しいわ」

「ああ、ごめん。思わず」

強く抱きしめ過ぎたか。
しかしベルルは嬉しそうに微笑んで、僕の手を引いた。

「良かったわ良かったわ。旦那様が、何もかも上手くいって。旦那様に何も無くて!」

「……ベルル」

「さあ、旦那様、居間でゆっくりなさって」

彼女の笑顔に、今までの緊張がほぐれていく。
僕は今日一日で、随分力んでいた様だ。


「坊ちゃん、よくやりました。ええ、私は分かっていましたとも……っ。いつか必ず、坊ちゃんが、グラシス家の………ううっ」

「サフラナ、大げさだ」

居間にて、青の秘術書をサフラナに見せた所、彼女はエプロンを顔に押し当て、泣き出した。
いや、彼女の思いは痛い程分かる。グラシス家を僕以上に長く守って来たのだから。

「きっと、大旦那様も大奥様もお喜びになります。坊ちゃんが秘術書を取り返したと。ああ、素晴らしい一日です。私はスッと胸のつかえがとれました。もういつお迎えが来ても良いくらいです」

「それはちょっと、僕が困ると言うか……」

「いえ、もう坊ちゃんは一人前ですよ」

ベルルがサフラナに寄っていって「そうよね、旦那様は凄いわよね?」と彼女の手を取る。

僕は緊張しっぱなしであまり実感が無かったのだが、この家にとってとても大事なものを取り返したのだと、彼女たちの反応を見て感じたものだ。







青の秘術書を取り返した次の日、僕はベルルと共にミネさんの部屋を尋ね、容態を確かめた。

「ミネさん、体調はどうでしょうか」

「ええ……寝ているだけですので、苦しい事はありません」

「……」

ミネさんは僕に対し、いつもそのように言う。
きっと僕に無茶をさせまいとしているのだろうけれど、代わりにミネさんが無茶をしている様に見え、僕は余計、出来るだけ早く彼女を病から解放してあげなければと考えた。

星雲は既に体の半分を覆い、チラチラと白い光を灯している。
まだ銀河と呼ばれる核は出来ていない様だが、青の秘術書を手に入れた今、急いで特効薬を開発せねばなるまい。

「ミネさん、大丈夫です。僕が絶対に、特効薬を作ってみせます。ヴェローナ家から青の秘術書を取り返す事が出来たのです。……これがあれば……」

「そうよおミネちゃん。旦那様、きっとすぐにお薬を作ってしまうわ!」

根拠も無いのに、僕はミネさんにそう言った。ベルルも彼女の側で、励ます様に。
ミネさんは無理に小さく微笑んで、コクンと頷く。いつも凛としていた面影は無く、弱々しい姿だ。

彼女の側で、小さなフクロウの姿となって丸くなるノーゴンさん。
僕はノーゴンさんに声をかけ、ミネさんの部屋を出て行った。

その間、ちょっとベルルにお願いして、ミネさんを見ておいてもらう。






「あの、ノーゴンさん……実際の所、ミネさんの容態はどのようなんでしょうか」

「……」

客間を開け、ノーゴンさんに尋ねた。
ミネさんは自分の事をあまり話そうとしないので、ここはノーゴンさんに聞こうと思った。

ノーゴンさんは神妙な面持ちだ。

「あまり……良くはありません。薬が切れてくると、とても苦しそうになさいます……銀河病の侵攻は日に日に速度を増し、広がっているかと」

「そもそも、なぜミネさんは銀河病に……?」

「……おそらく、ミネ様は幼い頃より、少なからず穢れのある場所で生活して来たからかと思われます。何度となく魔界へ赴く事で、発病に至ったのかと。しかし彼女は……ミネ様はこう言った事を隠しがちです。使命に捕われている哀れな娘なのです。私は幼い頃よりミネ様を見てきましたが、旧魔王様に命を救われ拾われた身である事が、彼女の使命感に繋がっているのかと」

「……」

「……プバハージの一件があってから、テオル様を追って、魔界の穢れの濃い地域まで足を踏み入れておりました。私が何度となく止めるのも聞かず……無茶ばかりして、本当にあの子は」

「ノーゴンさん……」

いつも落ち着いて見えるノーゴンさんの焦りの姿から、やはりミネさんは容態が良くないのだと理解出来る。いや、それは分かりきっていた事だが。

「ノーゴンさんは……ミネさんが大切なんですね」

「当たり前です。私の主なのですから。……魔獣は主に絶対の忠誠を尽くす身。主の事を思わない魔獣は居ないでしょう」

「……」

そうなのか。
いや、ローク様はきっと僕の事をそこまで思っちゃいないだろうけれど……

「今お前の思っている事が分かるぞ、小僧」

ボフッと、隣に座る姿で現れたローク様。足を組んで、瞳を細め、じっと僕を見ている。
あれ、冷や汗。

彼女は「ふんっ」と髪を払うと、その紅く鋭い瞳のままノーゴンさんに視線を向ける。

「主に主導権を握られているから、ミネを止められないのだノーゴン。あの娘は無茶をしすぎる所があるからと、旧魔王様がお前にミネを託したのに。……結局ミネの尻に敷かれおって」

ノーゴンさんは気不味い様子で「主の意志に従うのが本来の魔獣の姿では?」と言い返しつつも、どこか後悔の念が見える。

「うじうじしおって。お前はもっとスマートな男だと思っていたけどな」

はあ、とため息をついて、額に指を当てるローク様。
彼女は僕の肩に手を当て、横目に見た。

分かっているんだろうな、と言う様に。

「わ、分かってますよローク様。僕に急げと言っているんでしょう。無言の訴えやめてください、震え上がります」

「なっさけない。ここにはこんな男共しか居ないのか」

いえ、ローク様が逞しいのです。
誰より男前なのです。

僕は一口茶を飲んで、長く息を吐いた。
そして、気を引き締めたのだ。







それからの僕は、ただひたすら、薬の開発に勤しんだ。
僕の手元には、全てのものは揃っているはずだ。

解芳薬、約束薬、対象への命令……

しかし何故か、それは効果的な銀河病の特効薬となる事は無く、僕はお手上げ状態となってしまう。

刻々とミネさんの寿命が縮まっていっているのに、大きな事を言った僕が、なかなか成果を出せない。
その事に自分自身焦りを感じ始めていた。

何だ。何が足りないんだ。
どこで何かを間違ったのか。いや、きっと何かの過程が足りないのだ。

僕は何度も秘術書を読み返し、考えた。
やはり自分には無理な事だったのかと、期限が迫るうちに嫌な気に苛まれるが、そんな自問自答をしている暇も無いと思い直す日々。

ベルルは僕の体を心配したが、その優しさに答えてあげる事も出来ず、毎晩遅くまで研究を重ねた。


そして、なかなか進展の無い中、ミネさんの体にとうとう、銀河病の“核”が発生したのだった。


N4527BC-122
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Sense122

「何で、イメージ通りに体が動かないのよ」
「そう苛立つな。誰だって最初は駄目なものだ。むしろ、繰り返して慣れれば良い」

 休憩中、気落ちしたような、でも苛立ちの言葉を口にするライナに対して俺は、適当に慰める。その間ザクロを膝に乗せ、リゥイの背中をブラッシングする。気持ち良さそうにブラッシングを受けるリゥイは目を細め、膝の上を陣取るザクロは、火を操る幼獣のためかぽかぽかと温かい。
 そんな俺を暫くの間、恨みがましく睨んでいるのだが、ふっ、と溜息を吐いて視線を外していく。

「……まぁ、スライムに囲まれた時は、助けてくれてありがとう」
「ライちゃん、素直じゃないよ」
「あんまり、ツンケンした態度をとると周りから反発喰らうぞ。馴染めとか言わないが感情はコントロールしろよ。後、俺も言われたことだが『打算的に物事を考えろ』だと」

 ミュウに言われたことだが、この二人を見ると何となく分かる気がする。俺は打算的に考えられなかったから巻き込まれた。打算とは、メリットとデメリットの事だ。
 この人と一緒に行動することで何か良い事があれば、協力する。その代償に、自分は時間的な拘束男性 ファッション ブランド
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を受けるという損得勘定だ。
 そこには、人柄や性格も加味される。

「わ、分かったわ。でも、言いたいことは言うからね」
「感情的にならず、人に不快にしないように注意した方が双方の精神衛生上は良い。性格が合わない相手なら一度限りのパーティーでもありだろ。とは言え、ソロの俺が言うのも変だがな」

 言葉には、自嘲気味なニュアンスを込めて呟く。
 今までパーティーを組んだのも、友人や兄妹、生産職仲間たちなどと圧倒的にパーティー経験が少ない。そういう意味では、この二人とのパーティーは連携の試行錯誤の過程が見れるのではないか。とも思っている。

「ライちゃんも師匠も大概、ズバズバと言ってるよね」

 ジトっとした視線をアルから受けると、居た堪れなくなり、視線を逸らす。

「今日会って思ったけど、名前も顔も武器も隠して。二匹の使役MOBを引き攣れて。師匠って何者?」
「それは、聞かないのがお約束。って奴だ」

 マスクの上から口許に人差し指を当てる。まぁ、こういう小さな動作も恰好が胡散臭ければ、行動にも胡散臭さが移るという物だ。二人は微妙な顔をしている。

「まぁ、使役MOBが欲しいなら調教師ギルドがある。そこを訪ねて一通り聞けば良い」
「調教師とMOBか……。その、二匹に触っても良い?」

 ライナは、右手を突き出し、既に触ろうと準備している。まぁ、無駄に終わるのだろうが。

「こいつらは、他人に殆ど懐かない。試しに触れば良い」

 まぁ、予想はすでに出来ているのだが。

「えっ、良いんですか! じゃあ、遠慮なく……」

 ライナが触ろうと近づくが、ザクロは怯えてしまい、俺のマントの中に隠れてしまう。リゥイは、すっと立ち上がり距離を取る。

「残念だったな。懐かれていないみたいだな」
「どうして……」

 今までに見せなかった絶望した様な表情には、マスクの下で苦笑してしまう。アルの様子から何時もの事らしい。また、悪癖を。と呟くのを聞こえる。

「ザク……。いや、小さい方は、人見知りや対人恐怖。そっちの避けた方は、親しい人以外には絶対に触らせない」
「何で? あんなに、ふわふわして気持ち良さそうなのに……。もう一度!」

 避けたリゥイの方へと突撃するが、甘いな。ミュウですら捕まえられなかったリゥイを初心者が捕まえられるはずがない。軽くその体を触ろうと迫るが、軽くあしらわれる。反骨精神のライナは、負けじと考えられる方法でリゥイに迫る。じりじりとすり足で近づき、不完全なフェイントを織り交ぜるが、全て看破され、避け続けられる。それも明らかに手加減し、あと一歩という場面を演出するリゥイ。

「絶対、おちょくって楽しんでるな」

 ライナとリゥイの追いかけっこは続き、終わる気配を見えないために、諦めるまで放置しておく。
 マントに隠れたザクロは、俺の胸元から頭だけ出し、警戒をしている。

「師匠。さっき戦って思ったんですけど……魔法ってどうしたら上手く使えます?」
「うん? どうしてって」

 アルの質問に先の戦闘を思い返せば、スライムに囲まれたアルは、風魔法を乱発していた。その多くは、頓珍漢な方向へと逸れたり、無駄の多い物が多かった。

「あー。魔法な。かなり感覚に頼っている人と理論に頼っている人の二通りが居るんだ」

 以前、ミュウとセイ姉ぇと魔法談義をした際、二人の認識は大きく違っていた。

「俺は、感覚派。って言えば良いのか? 敵に狙いを付けて、魔法を放つ。って単純な思考で行っている。実にファンタジーらしい考え方だよな」

 どう話したものか、と悩みながら、コートの胸元から頭をひょっこり出しているザクロの額や綺麗な三角の耳を優しく指先で撫でる。

「そうですね。魔法ってそれが普通なんじゃないですか?」
「もう一つは、システム的な理論派の思考だ」

 先の言った感覚派の代表例は、ミュウだ。言葉じゃなくて感性や体感、実戦主体の思考だろう。剣と魔法を並列で使用する場合、無駄な考えを省き、最短発動が感覚派だろう。
 対して、理論派とは、セイ姉ぇのような少数派の人を言う。また、俺もある一部分では理論派とも言えよう。

「ゲームのシステム的に魔法やアーツの発動プロセスを見ると――座標や敵を『指定』。次に、魔法やアーツの『選択』、MPを『消費』最後に『発動』の四段階がある。感覚派は、これらの全てを最短でやるが『指定』の精度は、個人差があったりする」
「えっと、師匠。その理論派って、どういうメリットがあるんですか?」
「うーん。俺も詳しいことは分からないんだ。そもそも感覚派だしな。聞いた話だと思考ルーチンを『指定』『選択』『消費』『発動』の組み立てが慣れると【無詠唱】や【並列魔法】のセンスと組み合わせて無駄の少ない発動ができるらしい」

 それが出来れば、下級の魔法を連射しながら発動に時間の掛かる上級の魔法を準備など、セイ姉ぇは、本人打たれ弱い後衛だが、安易に近づけさせない弾幕を張れてやっと一人前。と言うが、普通は他人に守って貰って真価を発揮するのが魔法使いのはずなのだが……

「まぁ、このゲームのシステム的な発動は、魔法やアーツに限らず、生産センスでも同じだ」
「へぇ~。そうなんですか」

 生産の場合は、生産道具を『指定』、素材と生産アイテムの『選択』素材を『消費』、最後に『発動』。最後の発動で失敗すれば、そのまま素材は消失。生産職は、何時も『指定』と『選択』の部分で頭を悩ませている。
 この『選択』の部分は、生産スキルを使うことで簡略化されているために、手作業による複雑かつ膨大な選択の連続によって武器や防具の性能が左右される。と生産職共通の認識だったりする。
 他にも、セイ姉ぇ曰く、マジックジェムやエンチャントストーンのシステム的な発動プロセスは、アイテムを起点として『指定』『選択』『消費』の三つの工程が事前に登録されているために、後は、キーワードによる『発動』だけ。というのが考え方らしい。

「まぁ、生産職の当たりは、詳しく説明すると面倒だから、魔法は、結局慣れが大きい。使っていけば、レベルも威力も上がっていくしな」
「それって結局の所、レベルが重要なんですかね?」
「センスの組み合わせ、個人の技量やステータスの管理、武器の相性。そういった諸々だ」

 諭すように言うと、俺は、インベントリから読み掛けの『魔法概論』を取り出す。

「何ですか、そのアイテム」
「本だよ。見ての通り、こういった本を一冊読むにもそれに対応するセンスが必要だ。まぁ、趣味やネタセンスって言われているものだ。俺は好き好んで使っているが」
「それに何か意味はあるんですか?」
「意味はあるけど理解はされないんだよ。一種の自己満足だ。コンスタントにレベルや強さだけを追い求めるのも良いけど、こういった物もあるんだ」

 掲げた本をもう一度インベントリに仕舞い込み、俺は重い腰を持ち上げる。

「さて、休憩は終わりだ。この後どうする?」
「ちょ、待って。ううっ、何で捕まらないよの!」

 さっきからずっとリゥイを追いかけていたライナ。休憩前よりも疲れた顔をしているが、無視する。

「あー、ちょっとお金無いし、消耗品もさっきの戦闘で初級ポーションの効果が減ってたから……」

 早いな。いや俺の場合、スタートダッシュが遅かっただけで、戦闘系センスをメインに固めての集中したレベル上げすれば、二日くらいで目的のレベルに到達するだろう。それに俺が居ることで安全マージンは大分高く取れている。多少の無茶も出来るし、質の高いレベル上げならそれくらい行くのかもしれない。まぁ、低レベルの内はレベルが上がりやすいのもあるだろう。
 俺の毒と呪いの耐性のセンスだって、レベル11になっている。

「じゃあ、ドロップを売って、買い揃えれば良い。ただ、アイテムはNPCよりプレイヤーメイドの方が効果が高い場合があるし、売る人によっては、同じ効果でも安い場合がある。そうやって、良い店を探すことを俺は勧める」
「師匠、SPも獲得したんで、僕は、もう少し魔法寄りのセンス構成に変えてみたいです」
「じゃあ、私は、このままのスタイルで行こうかしら。アルが完全に後衛で私が前衛」

 どうやら、二人の中で少しだけ方向性が見えたらしい。

「あと、買い物に行くときは、一つだけ言っておく。NPC店でランタンや松明なんかの光源のアイテムを買っておいた方が良いぞ」
「何でですか?」
「お前ら学生だろ。昼間は学校で、まともに時間が確保できるのは、夕方から夜にかけてだ。夜の暗闇の対策は、センスや光魔法もあるが、店売りのアイテムでも解決できる。あって損は無いだろう」

 俺の場合は、【鷹の目】センスの暗視性能には随分と助けられた。ミュウも光魔法の【ライト】を打ち上げて視界を確保している。

「そうね。昨日は、夕方の暗さで切り上げたから確かに必要ね」
「じゃあ、僕が光魔法を覚えるよ。風と光の二種類を使っていくよ。今は金欠だし、その内、プレイヤーメイドの装備とか欲しいから節約しないと」
「じゃあ、アル。お願い。必要なら、私も何か役立つセンスを取るわ。アルにだけSPの負担は出来ないもの」

 二人の会話を聞いていると、金欠時代の自分を思い出す。あの時は、森を駆けずり回って採取アイテムの確保して、自分で調合していたな。それに、金がある程度溜まっても、設備投資でまた金が飛んでいく。最終的に店を持てるまでになったが、小さいカウンターと工房部のまま。
 この前、ミニ・ポータルを買ったからまた金欠気味だし。

「私たちは、お店の位置とか知らないけど、どこか良いお店はある?」
「……」

 この場で、俺のアトリエールを紹介すると、マッチポンプになってしまう。そもそもアトリエールの顧客は、困っていないし、無難な返答をするか。

「……露店がある。露店を見て回って、露店を開くプレイヤーに聞いて回れば良い。駄目なら、生産職向けの総合ギルドが今週から設立されていたはずだ。店の情報が欲しいならそこに向かえば良いし、その場で買える物もある」

 ただ、ギルドの委託販売は、僅かに手数料込みで割高になっている。地道に歩いて、顔を繋ぐのも面白い。

「わかったわ。それと一緒に――「回らないからな」――」

 おいおい、睨むな。上目遣いでも吊り目の女がやると年下でも怖いぞ。

「自分の好みの生産職を探すつもりで回れ、親しくなれば多少の融通は聞いてくれるかもしれないぞ」
「そうなんですか?」
「俺の普段行くところは、色々と融通し合っている」

 相手の必要とする素材があれば、提供し、逆にこちらも提供する。いや、これは生産職同士のネットワークか。でも、ミュウやタクなんかが拾ってくるアイテムに珍しいものが混じっていれば、色を付けた値段で買い取ることもある。

「とにかく、打算的に交流してみろ。そこから親しくなれば良いんだから。っと、通信か」

 二人と話している途中で、フレンド通信が入る。相手は、タク。このタイミングで連絡が入るとは。

「なんだ? お前から連絡って」
『よっ、昨日ぶり。今はお前の店に居るけど、奥に居ないみたいだから』
「当然だ。外で狩りをしている。で、要件は?」

 俺は、そろそろこの通信を切って、二人との話に戻ろうと思うのだが、二人はジェスチャーでこちらを優先して良いと伝えてくる。

『実はな。ユンに『桃藤花』の加工を頼みたい』
「……分かった。話を詳しく聞きたい」
『レベル上げついでに集めたからな。それを使い切ってでも良いからやってほしい』
「こっちとしては、俺自身が弱くて取りに行けないから願ってもないが。失敗するかもしれないぞ」
『そしたら、またレベル上げついでにあの樹で集めるわ』
「……今から行く。ついでだし、話したいこともある」
『待ってるぞ』

 俺は、タクとの通信を切り、二人に顔を向ける。
 しかし、どう話したら良いか。初心者支援を始めたは良いが、途中で放り出すのは……

「何を気にしているのよ。お呼びが掛かったんでしょ?」
「ああ、そうなんだが……」
「打算的に。でしたっけ? 僕たちとさっきの通信。どっちが利が多いか打算的に考えたらどうなります」

 そんなのは比べるまでもなく、タクの案件の用が利は大きいだろう。だが、ここで別れるのも自分の役割放棄になりそうで。

「何を迷ってるのよ! もう、さっきみたいな無謀な真似はしないわよ。それに、四六時中あんたを必要とするわけじゃないわよ。男なのにうだうだしない!」
「ライちゃん。ちょっと言い過ぎ。でも、僕らは、色々とセンスを試してみるので、さっきよりレベルの低いところで狩りをしてますよ」
「……ありがとう。俺は行くが、町まで送るか?」
「良いからさっさと行きなさい!」

 ライナに背中を押され、無理やり歩かされた。

「何かあったら気兼ねなく通信するんだぞ!」
「あんたは私たちの保護者か! 心配しなくても人とトラブルは起こさないわよ!」
「ライちゃん、自分が心配の原因って知ってるんだ」

 まぁ、アルがツッコミを入れている分にはまだ大丈夫なのだろう。
 俺は、パーティーから抜け出し、ポータル経由でアトリエールの工房へと戻ってきた。

N0771E-17
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第一部 3.もつれる感情−5

 所用で地方に外出していたサンジェルマンが二週間ぶりに王城に戻ると、彼が旅の疲れを癒そうとする間もなく、彼の帰りを伝え聞いた侍従長、衛兵隊長、女官長たちから相次いで呼び出しがかかった。城内に働く使用人たちの表情が固く緊張しているのを目にした時から、彼の留守中に城内で何らかの異変があったのだろうと察してはいたが、彼が挨拶に出向く前から呼び出されたとなれば、それ相当の好ましくない事情があるということだ。王と会える夕食時までにその全員と話をしておこうと考えた彼は、湯浴みを手早く済ませ、まずは侍従長のいる部屋を目指した。
 部屋に入るなり、サンジェルマンの目に侍従長のめっきり老け込んだ顔が飛び込んできた。侍従長は五十を越えようかという年齢だが、ここ五年ほどの間で急速に年を取り、頭髪が白く変わる速度が速まっているようだ。侍従長の対面側には彼と同じくサンジェルマンを呼びつけた衛兵隊長が佇んでいて、神妙な顔をしてサンジェルマンに目礼する。サンジェルマンも黙礼を返した。
 侍従長がサンジェルマンを手招きし、近くに来るように示した。室内に漂う空気には棘があって、体に重たくまとわりついてくる。彼が歩み寄っていくと、開口一番、侍従長が、王の機嫌が不安定だ、とサンジェルマンに告げた。
 サンジェルマンは、驚きはしなかった。何度となく耳にした台詞だ。
「不安定とは? どんなご様子なのです?」
「ここのところ何かを考え込んでおられるようで、心ここにあらずといった状態か、苛立っておられる事が多いのだ。貴殿が城を発った日、いや、次の日か、王はご自分の寝台を剣で切り刻み、剣一本をつぶしてしまわれた。それに、一週間ほど前、王に縁組を持ち込まれた隣国の使者が王の怒りを買って、危うく暴力沙汰になるところだった。使者殿ラルフローレン
ラルフローレン衣類
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にはうまく対処して帰国させたので大きな問題には発展しないとは思うが――」
 侍従長が言葉を濁しながら、反応をうかがうようにサンジェルマンを見た。サンジェルマンは、聞いている、という姿勢を示し、先に話を続けるように長官を促す。すると、その同じ日に、と、侍従長の話を継ぐ形で衛兵隊長が口を開いた。サンジェルマンが彼に注意を移動すると、彼はにこりともせずに話を切り出した。
「その夜、王が今年に入っては使われることもなかった、地下の“特別練習室”に向かわれ、交剣の末に衛兵の右手を切り落とされた。運良くとも言うべきか、その衛兵は命を落とすことはなかったが――今の王が、いつ次の練習相手を欲しがらないと言えよう? 今回の冬はいつになく安定したご様子で、このまま何事も起きずに温かい季節を迎えられるかもしれないと淡い期待を抱いていたのだがね」
 衛兵隊長は無念とも怒りともつかぬ感情を交差させたように、顔をしかめていた。相手が王というだけに理不尽な行為に対する怒りの矛先が向けられないのだ。
「そうですか、私の不在の間にそんな事が……。何か、王の心情に影響を与えるような出来事でもあったのでしょうか?」
「私には皆目見当もつかないが――どうだね、衛兵隊長?」
「私にもさっぱり掴めません。冬季の屋内生活での鬱憤が溜まっておられたのか……」
 二人より随分と年若いサンジェルマンの前で、二人は助けを求めるかのように彼を見る。
「王は、後宮には足を運ばれておりますか?」
「いや」落胆したような表情で、侍従長がため息まじりに否定した。「この約二週間は、まるで興味を失くされたかのように足が途絶えておるな。後宮へ行かれるようにお勧めしても、余計な世話を焼くなと仰るばかりで、王の機嫌を損ねるだけだ」
 そう言って、侍従長と衛兵隊長の二人は顔を見合わせた。
「――だからこそ、今回に関しては私たちも困り果てておるのだ、サンジェルマン」

 午後も遅くなって、サンジェルマンは女官長に会った。先だって話した侍従長と衛兵隊長と同様、彼女も疲れが蓄積した元気のない顔色をしており、落ち着きがなく、どことなく苛立っているような印象を受ける。
 彼と入れ替わりに退室しようとした彼女の新しい小間使いの背中がまだ見えるうちに、彼は女官長に告げた。
「先ほど、侍従長と衛兵隊長にお会いしてきた」
 彼がにっこりと微笑むと、彼女の強張った頬が幾分か弛んだ。
「そう。それでは、王の最近の動向はご存知ね。……よかったわ」
「私の留守中にいろいろとあったと聞いた。女官長の気苦労、お察しする」
 彼が真摯に小さく頭を下げると、彼女の口から短いため息が漏れた。
「いえ、私はいいのですよ。大変な思いをされているのは、むしろお二方……」
 女官長が首を傾げるような仕草をし、二度、頭を左右に振った。額の真ん中に血管が青白く浮き立っている。彼女が疲れている証拠だ。
「女官長。お二人にも伺ったのですが、王を不安定にさせる何らかのきっかけについて、女官長の方で心当たりはないか?」
「……そうね」
 若干の言いよどみが、サンジェルマンの気に掛かる。
「後宮から王の足が遠のいているとも聞き及んだが? ジェニーはどうしている?」
 話がジェニーに及ぶと、女官長が疲れをいっそう顔ににじませて彼を見つめた。
「ジェニー……あの娘ったら」
「どうされた? 何か、あったのか?」
 王が度々ジェニーを訪ねていくようになったという話は、以前、彼も女官長から聞いていた。それなのに、王はここ二週間も後宮にすら足を向けていないという。
「あの娘にはしばらく安心していたのですが……。ジェニー、あの娘は事もあろうに――王に、離宮の書物を読ませてくれと直談判したそうにございます」
「書物を?」
「ええ、私たちに頼んでも取り合ってもらえないと知ってのことですわ」
 彼女は力なく言うと、口元に手をやって大きく息を吐いた。また、顔を左右に振っている。
「王の元に暮らす女が書物などを手にしてどうするというのです? おお、あの娘の身の程知らずなこと! 当然、王はそんなばかげた願いをお聞き届け下さるわけがございません、ジェニーにお怒りになって部屋を出ていかれたそうですわ。ジェニーは、出すぎた真似をしたと今頃になって気づいたのでしょう、めずらしく、反省している様子ですがね。王に愛想をつかされたとしても、もう、仕方がないことですわ。私としても同情はできかねます。そういったわけですから……それ以降、王が彼女の元を訪ねたことはありません」
 女官長は一気にまくし立てると、呆れ果てたというように額に手をやった。
「それはいつの話だ、女官長?」
「貴方の出発された日です。ここでライアン様と三人で話した日ですから、よく覚えておりますわ」
「ああ、それなら私も覚えている。あの日は王がいつになく上機嫌だった」
「そうでしたかしらね」
 女官長と会話をしながら、サンジェルマンは直感で、王の不機嫌の原因がジェニーにあるのではないか、と思った。
「では、ジェニーとの一件を境に王は不安定に転じてしまわれたと――」
「さあ、それはどうでしょうか? きっかけの一つにはなったのかもしれませんが、そうだとも言い切れませんわ。その次の日にはカトリーヌを訪ねておりますが、彼女が誤って酒壷を落として割ってしまったことで、ひどく機嫌を損なわれたそうにございます。そちらが原因かもしれませんし。後宮に姿を見せなくなったのはその日からですから」
「そうか。それでは、何とも言えないな」
 サンジェルマンが小さく息をつくと、女官長が弱々しく微笑んで彼を見た。
「王の気が治まるならと、周囲に若い娘を何人か付けてみたのですが……王の目には留まらなかったようですわ。まったく、困りましたわ。今回は特に長く続いているようですし、何とかして静まっていただかないと。サンジェルマン様、今回は、一体、どんな手を打てばよいのでしょうね?」

 サンジェルマンは、夕食の為に部屋に現れたゴーティス王についさっき会い、帰城の挨拶を済ませたばかりだ。王のいる晩餐の間から隣の控えの間に移り、中央にある椅子に身を沈めている。二つの間を繋ぐ扉を通して給仕たちの低い足音が時折聞こえてくるので、王が通常と変わりなく食事を進ませているとわかり、サンジェルマンは安心した。 
 彼が王に挨拶にあがったときの、王の醒めた目が鮮明に記憶に残っている。王が神経質になっている時はそうであるように、顔色は病的に白く、目の輪郭全体が赤みを帯びていたのは同じだ。だが、サンジェルマンを目にするなり、瞬間的に凍ったかのように王の瞳の奥から温かみが失われた。本日戻りました、とサンジェルマンが述べても、王は無言で頷いただけだ。
 最初こそ気のせいかと思ったのだが、サンジェルマンがさらに王に話をしようとすると、王の体の表面に緊張感が張りめぐらされるのがわかった。場の空気が張りつめ、王の機嫌がじわじわと悪化していったのが見てとれた。彼は、話を後回しにされた。
 私に対し、何らかの悪感情を持っている?
 心に浮かんできた考えに半信半疑ながら、さがれ、と王に尖った声で命じられて、サンジェルマンは自分の考えが当たっているのではないかという思いが深まった。なぜ王に敵視されるのか心当たりはなかったが、王が、彼と同じ空間内にいるのを良しとしていないのは明らかだった。それ以上の事態の悪化を招く前に、彼は晩餐の間から退いた。
 しかし、王が精神的に不安定な時には激情に任せて人を殺傷するのも珍しくないのに、彼は王に罵倒もされなければ杯を投げつけられることもなかった。サンジェルマンの存在が王の嫌悪を引き出しているらしいのに、負の感情は王の内側だけにこもっている。その事実の方がサンジェルマンを数倍も混乱させる。
 王のとった態度の背景にあるものはまだ、掴めない。サンジェルマン自身が要因の一つであるとすれば、さらに、ややこしい。事態は聞いていたよりも悪そうで、収拾するのに、時間がかかりそうだ。

 晩餐の終わりが告げられ、控えの間と晩餐の間を繋げる扉が向こうから開放された。開いた空間から別種類の明るさがサンジェルマンの脚の間にある床を照らしたが、物思いに耽っていた彼はそれに気づくのに遅れ、扉の先に視線をやるまでに若干の間を要した。彼がやがて顔を上げて晩餐の間を見ると、細長いテーブルを回って出入口に向かおうとするゴーティス王の姿が、扉の両側でサンジェルマンに背中を向けて立っている二人の給仕の合間に現れた。
 機嫌の悪い王の目に触れないように、と彼が願ったのはほんの一瞬しか続かず、王はサンジェルマンが隣室で待機していたのを最初から心得ていたというふうに、彼を悠然と見つめ返した。あわてて彼が椅子の上で姿勢を正すと、王は片方の眉根を少しひそめた。あいかわらず人を射るような眼差しだったが、さっきほどの怒りは含まれていない。
 王は無言で彼の視界から消えていった。サンジェルマンは急いで身を起こし、王の後を追うべく、駆けていく。
 王を護る近衛兵たちの後ろに追いつくと、彼の足音に気づいたらしい王が、その歩みは止めずにちらりと背後を振り返った。それがサンジェルマンだと予想はしていたようだ。王は表情を変えず、通路を先へと進んで行く。
「王」
 問い詰めたくなる気持ちを抑えこみ、サンジェルマンは普段と同じ調子で王に話しかけた。だが、彼は返事もせず、背後に注意を向ける素振りも見せない。
「王、私の出向してきた地の件で報告があるのですが――」
「それは大臣どもに言え」振り向きもせず、淡々とした口調で王が言い放つ。
 普段ならば、王の機嫌が多少悪かったとしてもサンジェルマンはもう少し食い下がって話を一方的に進めている。けれど今回に限っては、そうする事が良策かどうかは疑問で続きを口にするのを躊躇し、この後にどう出るべきかと彼は迷った。王が歩く度に肩の後ろにたなびく銀色の髪を見ながら、サンジェルマンはどうしても二の句を継げない。
 数秒後、王の歩みが遅くなった。サンジェルマンは足並みをゆるめ、自分から見える近衛兵の横顔がうっすらと強張っていく様を目にする。
「おまえはもうさがれ。今宵、おまえには用はない」
 王はゆっくりと歩いたままで振り向かず、サンジェルマンに向けてきっぱりと言った。
「さがれ」
 やっと立ち止まって振り返った王の顔には、緊張と苛立ちが混じり合ったような奇妙な高揚がひろがっていた。サンジェルマンは戸惑いを何とか隠し、唇をすっと引き締める。
「は。ですが――」それから彼が次に言葉出そうとすると、それにかぶせかけるようにして、王が言った。
「俺は今から後宮に向かう」
 彼はサンジェルマンの追随をあらためて目で制止し、有無を言わせない口調だった。

 東館から伸びる通路の先、後宮の入口付近では、二週間ぶりに予告もなく姿を現したゴーティス王を見つけた者たちがにわかに慌て出している。後宮側に向かって開かれた両扉の向こうに、二人の女が廊下の奥の方へ急いで駆けていくのが見えた。王の到着をきちんと迎え入れられるよう、入口を護る衛兵たちが顎をぴんと上げて背筋を伸ばす。
 通路には小さな正方形の窓が等間隔に四つ並んでいるが、日没とともに木板で閉められている。通路はうす暗い。衛兵たちの頭上にある、壁につけられた松明が明々と燃えているだけだ。
 二つの棟を繋ぐ通路のちょうど半分を過ぎたあたりに差し掛かった時、突然、ゴーティスは廊下の中央でぴたりと足を止めた。
 両手が、指先が、小さく揺れている。
「おのれ……」
 ゴーティスは手を握り締め、制御のきかない自分の手から目を背けて後宮の入口に視線を上げた。彼も見慣れた召使女たちが衛兵たちの後方に一人ずつ、頭を垂れて従順に待機している。その光景が目に入ると、彼の苛立ちがいっそう増した。
「おのれ、あの女……!」
 彼が誰に言うでもなくそう罵ると、両側にいた近衛兵たちの体がわずかに震えた。まるで、自分の体自身に起きた震えのようだ。実際の彼の体は震えなどしていないのに、体の内側が震え続けているような、奇妙な感覚が続いている。
 彼は歯を食いしばった。体の中心から、耐えられないほど熱く、重苦しい固まりまでもが喉をつきあげてきた。彼は自分の体を扱いかね、両目をしばらく瞑るほかない。
「王? ご気分でも……?」
 遠慮がちに彼に声をかけた近衛兵の言葉に触発され、彼は目を見開いた。目の前に開けた視界は、少し明るく感じる。
 ゴーティスは近衛兵たちの間から一歩踏み出し、足首をぐるりと回転させて後宮に背を向けた。王と対面する形になった近衛兵たちもあわてて彼に倣い、向きを変える。
 後宮入口にいた者たちの間に動揺が走ったらしい気配は感じた。声や物音はゴーティスの耳まで届いてこなかったが、彼自身でさえ今の自分の行動が不可解なのだ、彼らが戸惑ったとしても何の不思議もない。
「女官長を俺の部屋に呼べ!」
 通ってきたばかりの通路を戻ろうとする直前、彼は背後の者たちに聞こえるよう、大声で言った。続けて、女たちの切迫した返事が彼を追ってきた。

 女官長は予期せぬ混乱と不満を腹の底に溜め、義務感だけで後宮への道を急いでいた。付き添いの者はいない。夜はまだそれほど更けてはおらず、後宮の住人たちも眠ってはいない時間帯だ。
 彼女が後宮入口に姿を見せると、扉の番をする衛兵たちが彼女の為にと入口扉を開放した。ドレスの裾をひょいと持ち上げ、一段高くなっている後宮の廊下へと彼女は足を踏み入れる。王の訪れない後宮は静かで、どこか寂しげだ。行く道すがら、彼女の姿を見かけた召使女たちが頭を垂れる。
 階段を上がろうとした時、「女官長様?」と、彼女の頭上から聞き覚えのある女の声が降ってきた。彼女は声だけでそれが誰かを特定し、何ともやり切れない思いで女を見上げる。
「ああ、アニー、ちょうど良いところで出会ったわ」
 彼女が階段を登ろうとする前にアニーの方が素早く降りてくる。
「私、今から帰るところでしたが。どうなさったのです? 」
「そう……。せっかくのところを悪いけど、ちょっと一緒についてきてちょうだい。ジェニー様はもう休まれているの?」
「いいえ、まだだとは思いますが。彼女が、何かご面倒でも?」
「ジェニー様に話があるのよ。すぐに終わるから、一緒に来て」
 二人は、緊張感からか、無言でジェニーの部屋に入った。

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だ。
 その顔でだ。こう言ったのだった。
「僕の家族は僕が駄目だからね」
「駄目だから?」
「僕のことは邪魔だ、鬱陶しいって思ってるから」
「そういう人達なの」
「そうだよ。大事なのは自分達だけで」
 それぞれだというのだ。ただしそこにはだ。
 お互いの、夫婦間の愛情はなかった。つまり二人共完全なエゴイストであるというのだ。
「僕は罵られたことはあっても褒められたことなんて一度もないよ」
「それが希望の御家族なのね」
「そうなんだ。だから来ないでね」 
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んだ顔になってだ。希望は話した。
「千春ちゃんにとってもよくないから」
「それじゃあ」
「家族なら誰でも大事だ、愛情があるなんて嘘なんだよ」
「よく言われることでも?」
「うん、嘘なんだよ」
 そうだとだ。俯いて話す希望だった。そのままで。
「愛情のない人もいるから」
「だから家族もなの」
「そう。そうした家族もあるんだよ」
「そしてその家族の人とは」
「できるだけ会いたくないよ」
 暗い顔でだ。その家を前にしてだ。希望は話した。
「だからもう家にはあまりいないんだ」
「そうなの」
「まあとにかくね」
 ここまで話してだ。そのうえでだった。
 希望は千春にだ。こう言ったのだった。
「今日はこれでね」
「うん、これでね」
「さようならだね」
 微笑んで言う千春だった。
「それじゃあまた明日ね」
「うん、明日ね」
 千春は今はだ。希望に手を振ってだ。
 そしてそのうえでだ。二人は別れた。刻は夕方に近付こうと

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「んん!? それなのに?」
源次郎は聞き捨てならなかった。

「この子ったら、うんうんって、私の説明にひとつずつ頷いてくるのよ。」
「勘違いしてたんじゃないんですか?」
源次郎は、今度は美由紀に向けてそう問う。
当然に、オカマの店だとは知らずに来たものと思っていたからだ。

「?????。」
美由紀は黙って少し首を傾げるような仕草を見せる。
「さあ、どうだったんでしょう?」とでも言うようにだ。

「驚かないのよね。で、私が“そういうことだから???”と断ろうと思ったのに、この子ったら、“はい、よく分かりました、頑張りますから???”って言うのよ。」
「ええっ! “頑張ります”って???。」
源次郎はそこから先の言葉が出ない。

「で、でしょう? 驚くわよねぇ~???。私も、自分の耳を疑ったもの。
で、思わず周囲にいた店の子の顔を見たわ。“ねぇ、今の聞いた?”ってね???。」
「??????。」
「そうしたら、そこにいた全員の目が点になってたわよ。だから、ああ、私の聞き間違いでもないんだプーマ シューズ レディース
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って???。」
「そ、それで?」
源次郎はその先がどうしても早く聞きたかった。

「今だから言っちゃうけれど???。」
「あ、はい???。」
「私、この子、頭が少しおかしいんじゃないかって???、そう思ったわ。」
「うっ、う~ん???。」
源次郎は、「なるほど!」とは同調できないものの、その場におれば、誰しもがそう思うだろうという感覚はあった。

最初は、オカマの店だと知らないで、ただ表の「アルバイト店員求む」の張り紙だけを見て飛び込んできたのだろう。
それでもだ。ママが、「結構露骨に」店の営業内容を説明したと言うのだから、当然に美

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発見をした思いがする。


そして、脱衣籠の最後に残ったものに手を伸ばした。
ジャンパーである。
いや、その筈だった。

(ん? こ、これも?)
源次郎は、その衣類に触れる前から、それが昨日までのジャンパーではない事に気が付いていた。
明らかに色が違っていたからだ。

「??????。」
源次郎は自分自身に驚かないようにと言い聞かせるようにしながら、その衣類を持ち上げた。
そして、両手でそれを拡げてみる。

「ああっっ! こ、これって???。」
とうとう声が出る。

そう、それは、ジャンパルイヴィトンバッグ
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ーなどではなかった。
明らかに、ちゃんとした上着である。
当時、よく言われていた「ブレザー」と呼ばれる上着だった。
色は、明るい目のグレーである。


(つづく)


第2話 夢は屯(たむろ)する (その1025)

(こ、これを着ろってか?)
源次郎は、何か着せ替え人形になったような気持だ。

兎も角、まずは袖を通してみる。

(ん? な、何て軽いんだ???。)
源次郎の第一印象である。

まるで、空気で出来た服を着たような気さえする。
それほどまでに軽く感じた。
それに、肩幅もピッタリである。
きつくもなければ、余りもしてはいない。


「まだぁ~?」
部屋から美由紀が催促をしてくる。
早く出て来いと言わんばかりにだ。

「あ、はい???、もう出ます。」
源次郎は、その状態でドアを開ける。

「あああっっ! ??????、良いんじゃない? 素敵???。」
ドアを開けた途端に、美由紀が待ち構えていたように言ってくる。

「で、でも???。」
源次郎は言葉が無い。
どうして、ここまでしてくれるのか。
それが分っていないから

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第十三話 衝突その五

「中南米の魔神クマゾッツじゃな」
「前に話していたな、俺に」
「蝙蝠の姿をした魔神じゃ」
 こう彼にまた告げた。
「その魔神はわかった」
「残るは八柱か」
「それについては今調べているところじゃ」
 と述べてから机の端にある今度はとりあえず普通の紙の書を手に取った。紙は紙であるがそれでも随分古いものではある。
「今な。とりあえず日本と東アジア、北米に中南米にはいた」
「他の地域にもいるか」
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「これがアラビアの書じゃが」
 見ればかなり個性的な字のアラビア語がそこにあった。
「しかし。これは」
「その書に何かあるのか」
「字がのう」
 困った顔になる博士であった。
「あまりにも個性的で。それを解読するだけでも大変じゃ」
「そこまで下手なのか」
「それを言ったらおしまいじゃよ」
 こう言うがまさにその通りだった。字には個人の個性がある。中にはとても読めたものではない、本人が後から読んでもわからない文字もある。
「それはな。じゃが」
「それでもわからないか」
「わかりにくい」
 実に率直に牧村に述べた。
「この文字は」
「書の解読には時間がかかるか」
「普段より遥かに進むのは遅い」 
 やはり困った顔になっている。
「普段はただ何が書かれているのかそれを解読するだけでよいのじゃが」
「今回は文字を解読してからか」
「そうなのじゃよ。しかし本当に」
 挙句には腕を組んで首を捻りだした。
「ここまで汚い字はわしもはじめて見るのう」
「博士でもか」
「うむ。こんなのは百年生きてもはじめてじゃ」
 博士の実際の年齢もかなり不明ではあるがそれでもだった。
「アラビア語なのかも怪しく思えてきたのう」
「その中でわかったことはあるか」
「まだない」
 これが返事だった。
「本当にここまで汚い字じゃとのう。わかったものではない」
「では暫くしてから頼む」エルメス バッグ バイマ
 彼はこう博士に言った。
「書を解読し終えてから教えてくれ」
「わかった。それではその話は後でな」
「頼む。しかしこのコーヒーは」
「美味いじゃろ」
「ブルーマウンテンか」
 そのコーヒーの豆が何であるか彼は舌で見抜いた。
「そうだな。これは」
「私が淹れてみました」
 ここでろく子が首を伸ばしてきて彼の前に顔を出してきた。その知的な顔を明るくさせて彼に問うてきた。
「如何でしょうか」
「そうか。貴様が淹れたのか」
「美味しいですよね」
「美味い」
 その淹れた本人に対してはっきりと述べた。
「豆がいいだけではない。淹れ方もな」
「有り難うございます。私最近コーヒーに凝ってるんですよ」
「それでブルーマウンテンを淹れたのか」
「その通りです。他にも豆揃えてみました」
「本当に凝ってるのだな」
 牧村は他の豆の話も聞いて述べた。
「本気か」
「紅茶も凝ってるんですよ」
 ろく子は牧村に褒められたせいか機嫌をよくさせてさらに聞かれてはいないことも話しだした。
「実は」
「なおいいな。コーヒーにはコーヒーの、紅茶には紅茶の味わいがある」
「そして深さも」
「そうだ。どちらも深い」
 牧村はそのことがよくわかっていた。

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第六話 大天その四

「妖精と同じだな」
「これはこの前に話したかのう」
「確か」
 静かに博士に答える。
「そうだったと覚えている」
「名前が違うだけで大体同じじゃ」
「そうか、やはりな」
「特に怖がることもないのがここでもわかると思うが」
「元から怖がってはいない」
 やはり表情を変えずに博士に答える。
「驚きはしたがな」
「普通はもっともっと驚くんだけれどねえ」
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「心臓が吹き飛ぶ位にね」
「ねえ」
 牧村の言葉を聞きつつまた妖怪達が言い合う。
「それでもこの人はこんなのだからね」
「何か拍子抜けっていうかね」
「面白くないよね」
「面白いことをするつもりもない」
 やはり素っ気無い牧村の返答だった。
「別にな。今はそうした時ではない」
「じゃあ面白いこともできるの?この人」
「想像できないよね、全然」
「ねえ」
 やはりどうしてもそれはできない妖怪達だった。
「こんなのだからね」
「漫才師とか向いてると思う?」
「まさか」
 ふと想像してみるがどうしても無理だった。
「全然向いてないよ、お笑いは」
「芸能人だったらあれ?俳優さん?」
「随分役柄が限られている感じだけれど」
「芸能界にも興味はない」
 ここでもこんな返事の牧村だった。
「特にな」
「まあその方がいいよ」
「向いてないからね」
「それも絶対」
 また妖怪達は牧村に話す。
「賢明な判断だね」
「まあその話は置いておくのじゃ」
 博士はここでまた口を開いた。妖怪達の話を終わらせたのだ。
「きりがないぞ」
「あっ、御免」
「それじゃあ止めるよ、博士」チャンルー シルバー
「そういうことじゃ。とにかくじゃ」
 ここで牧村に顔を戻してきた。
「大天使についてはこれから調べておく」
「わかった」
「少なくとも悪いようにはならんよ」
「それは確かか」
「天使の階級はあれでかなり厳格なのじゃよ」
「天使だけではないか」
 これがまだ今一つ把握できない牧村だった。
「ただ天使だけがいるとだけ思っていたのだがな」
「最初の髑髏天使はどうだったかわからぬぞ」
「最初とは」
「だからじゃ。昔からおったのが髑髏天使じゃよ」
 博士が今度言うのはこのことだった。
「キリスト教以前からな」
「では時代と共に形が変わるのか」
「その証拠に御主の髑髏天使としての姿はどうなっておる?」
 博士が次に指摘したのはこの部分だった。
「まず頭は髑髏じゃな」
「ああ」
「そして西洋の鎧を着ておるな」
「その通りだ」
 確かな声で博士に答える。
「考えてみよ。その鎧ができたのはほんの数百年前じゃ」
「数百年前か」
「十字軍の時代やアーサー王ではあれじゃよ。鎖帷子じゃ」
 これは絵画にもよく表わされている。アーサー王の伝記ではランスロットもガウェインも鎖帷子なのだ。また十字軍の騎士達も同じだ。アーサー王の物語を纏めたサー=トーマス=マロリーは丁度この時代に生きていた。彼の時代にはプレートメイルはなかったのだ。
「多分その時代の髑髏天使は鎖帷子だったのじゃろうな」
「そうなのか」
「髑髏天使の格好は多分になる人間のイメージが働くようじゃな」
 目を少し思慮深いものにさせて牧村に告げる。
「君は鎧といえばあれじゃな」
「西洋の鎧だ」
 このことを自分でも話す。
「それが第一にあるが」
「ではそれがそのまま出たのじゃ。それで西洋の鎧を着ておるのじゃ」
「そうか」
「そして天使としての階級が加わった」
 博士はまた天使の話をする。

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